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Nicolas Renard 

ニコラ・ルナール

 
ニコラ・ルナール
 
 
 
1990 年代中期、ロワールでジャスニエールを生み、その後、ルメール・フルニエから生み出したシュナン・ブランで一躍ヴァン・ナチュールの伝説的存在となった醸造家、ニコラ・ルナールのドメーヌ。天才肌ゆえの風来坊気質なのか、ニコラは 2005 年に突如ロワールを去り、短期間ローヌのアルデッシュでワインを造った後、 2011 年にトゥーレ-ヌ、アンボワーズ村に戻り3 ha を購入。 2014 年には長さ 100m もの石の洞窟の醸造所を手に入れ、理想の醸造環境を着々と入手している。栽培、醸造では無農薬、低収穫、亜硫酸塩完全無添加は彼の基礎的前提。それに加えて気を配るのが、畑でもセラーでも、徹底して電磁波の影響を退けるワイン造り。ゆえ洞窟のセラーには徹底的に金属製品を排除し、電灯さえも低電圧のものに交換。さらに自社畑では、針金などが集める電磁波の影響を退けるため、パリサージュも行わない。「電磁波の強い環境では畑にカビや病気が発生しやすい」というのが、ニコラの持論である。生産は、わずか 6,000 本前後のみ。
Nicolas Renard Nicolas Renard Nicolas Renard
ニコラ・ルナールの近況まとめ
 
2013 年秋 アンボワーズの洞窟を購入し、近くの畑を 3 年後購入条件で契約をする。 2013 年はシュナン・ブランを 1 樽醸造。
2014 年、 2015 ソーヴィニョン・ブラン、シュナン・ブラン、コ、少量のシャルドネを造る。
2016 2 仕立て方法が持ち主に受け入れられず、 2016 年収穫後に出ていくこととなる。 4 月、初リリースの 2014 年が日本に到着。 
2016 年ヴィンテージは遅霜と雹害のため、ソーヴィニョン・ブラン 2 樽のみ醸造し、収穫後新たに畑を探し始める。
2017 2 ロワール・エ・シェールのゾーンにある畑  4ha 3 年後購入条件で契約。 2017 年、 2018 年ヴィンテージは、ソーヴィニョン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニョンのペティヤン、シュナン・ブラン、を造る。
まさに鬼才の名がふさわしい。とてつもない魅力と個性を持ち合わせ世界に誇る作り手。その手法、行動が変人扱いされている。
Nicolas Renard
ニコラ・ルナール
ニコラ・ルナール / キント・カベルネ・フラン
VdF-Quinto Cabernet Franc
キント・カベルネ・フラン
品種:カベルネ・フラン100%
バリックとエポキシタンクで醗酵
醗酵が終わりきる前に瓶詰め
2017年:例年天候不良による収量減が続いたので、友人の栽培家から購入したカベルネ・フラン。ブドウの成熟度や状態に関しては、赤ワインを造ろうと思えるものではなかったので、少し早めに摘んで、ごく短いマセレーションで、ペットナットを造ることに決めた。デゴルジュマンは2019年夏。残糖があり、香りも濃厚。大のイタリアワイン好きの二コラは初めて飲んだ時に、カッペッラーノのキナートを思い浮かべたのだが、名称がうるおぼえだったため、キントと呼んでいるうちに、キュヴェ名になってしまった。。
イタリア語では、クイント(quinto)というと”第五の”という意味だが、それは全く関係ない。はずである。
ニコラ・ルナール / マダム・レーヴ
Madame Reve
マダム・レーヴ
 
品種:シュナン・ブラン モンルイの造り手、リュドヴィック・シャンソン栽培のブドウ グラスファイバータンクと木製樽で醗酵 グラスファイバータンクと木製樽で 15か月熟成 醸造はリュドヴィック・シャンソンのセラーで収穫からプレス、瓶詰まで二コラが行った。 2022年モンルイでは稀にみる豊作の年で、二コラの友人であるリュドヴィック・シャンソンでもその例にもれず多くのブドウが収穫が期待できた。そこで日頃からちょっとした時に助言をくれる二コラへのお礼として、ブドウを一部、二コラの思うタイミングで収穫させてくれ、醸造もさせてくれた。マダム・レーヴとはAlainBashungの曲名から。二コラのシュナンにしては比較的ドライな仕上がり。
ニコラ・ルナール / キュヴェ・ジェイ
Cuvee J 
キュヴェ・ジェイ
品種:ソーヴィニョン・ブラン100%
植樹:1984年
位置:標高150m
土壌:主に粘土質
木樽で醗酵
木樽で2年間熟成。その後タンクで落ち着かせてから瓶詰め。
自社畑のブドウのみを使い醸造。すっきりとしたタイプのソーヴィニョン・ブランとは違い、ぎりぎりまで収穫を引っ張り、極限まで熟した果実で醸造しているため、濃密な味わい。
キュヴェ名はニコラの両親であるジャニンとジャッキーのイニシャルに由来。
ニコラ・ルナール / トゥーレーヌ リュリュ
Touraine - Lulu 
トゥーレーヌ リュリュ
品種:シュナン・ブラン100%
植樹:1980年代
位置:標高150m
土壌:粘土、火打石
木樽で13ヶ月熟成
醗酵中に生成された炭酸ガスを利用して
醸造に活かす。
二コラ・ルナールの代名詞ともいえる品種である、シュナン・ブラン。キュヴェ名は娘の名前(Ludvine/リュディヴィーヌ)の愛称にちなんでつけた。ニコラにとってもシュナン・ブランは特に好きな品種なので、愛する娘の名前が何よりもふさわしい。
ニコラ・ルナール / キュヴェ・レオ 
Cuvee Leo
キュヴェ・レオ 
品種:コ(マルベック)100%
植樹:1979年
位置:南向き
土壌:フリント、粘土
タンクで約2週間半のマセレーション
木樽で2年の熟成
キュヴェ名は愛娘リュディヴィーヌの息子レオに由来。
ニコラ・ルナール / アルデリカ・シラー・モンロドン
Alderica Syrah Monrodon
アルデリカ・シラー・モンロドン
 
品種:シラー100% 植樹:1990~2000年代 位置:標高300m、平地(プラトー) 土壌:シスト ブドウはシャトー・ド・ゴール所有のラトゥール・ド・フランスのエリアの畑から。 セメントタンクで3週間マセレーション 1年間樽熟成 亜硫酸無添加 シラーの茎を熟せさせることは非常に難しいので、全て除梗して醸造。ラックよりも柔らかなタンニンと果実味で、よりラングドックらしいシラーだとニコラは評す。
ニコラ・ルナール / アルデリカ・シラー・ラック
Alderica Syrah Lac
アルデリカ・シラー・ラック
 
品種:シラー100% 植樹:1970~1990年 位置:標高350m、北東向き 土壌:粘度石灰土壌 ブドウはシャトー・ド・ゴール所有のラトゥール・ド・フランスのエリアの畑から。 セメントタンクで3週間マセレーション 1年間樽熟成 全除梗 亜硫酸無添加 "シラーの茎を成熟させることが非常に難しいので、全て除梗して醸造。 ニコラ「ミッテルベルガー社製の新樽を熟成で1/3使っているが、樽の匂いがつきすぎない良い樽メーカーだ。ラックはその名の通り、カラマニー湖(湖=Lac)が近くにあり、カニグー山のすそにある、モンロドンよりも少しだけ標高が高い。コルナスを思わせる雰囲気で、詰めたてはしばらく還元していたので、開くには今回の3キュヴェの中では一番時間がかかるだろう。」"
ニコラ・ルナール / アルデリカ・グルナッシュ
Alderica Grenache
アルデリカ・グルナッシュ
 
品種:グルナッシュ100% 植樹:1980年代 位置:標高300m、北向き 土壌:シスト ブドウはシャトー・ド・ゴール所有のラトゥール・ド・フランスのエリアの畑から。 セメントタンクで3週間マセレーション セメントタンクで1年間熟成 亜硫酸無添加 20%ほど全房のブドウをセメントタンクの底に敷き、残りは全て除梗して醸造。抽出の濃いワインはニコラの求めるスタイルではないので、マセレーションは3週間、プレスも強くはしなかった。
 
 

ニコラ・ルナールとは

  

ドメーヌ解説

 創業年:2013年
2011年がファーストヴィンテッジ。借りた畑で栽培を行い、自身のワインを造っています。同じエリアで3haの畑を別途購入。今後ルーサンヌを中心に樹根し、一部グルナッシュグリ(ペティヤンを造る予定)を植える予定だったが売却、現在はトゥーレーヌはAmboise(アンボワーズ)周辺で3haの畑をレンタルしワイン造りを行っている。
畑面積:3ha
主要品種:シュナン・ブラン、シャルドネ、ソーヴィニョン
平均年間生産量:6000本
 
《ニコラ・ルナールの本気》
トリノからパリ、続いてロワールへ。ニコラ・ルナールの新たな出発を確認のため訪問。思えば長いつきあいとなるニコラは、他に真似できない飛びぬけたワインを造る点にかけては、疑いなく天才です。が、天才には気まぐれがつきもの。いつも内心、ワインが商品となって出てくるまで、ハラハラしどうしです。なのに、このたびは大きな嬉しい驚きでした。なんと、理想的な洞窟のカーヴを入手していたらしいのです。
 今年の1月、「ワインを造ったので、よかったら会いにきてください」と、たった一行のSMSメールを受け取り、すぐさまニコラのもとに飛んでいったことはご存知の通り。2014年からアンボワーズで、シュナン・ブラン、シャルドネ、ソーヴィニョンを造ることになっており、畑の旧持ち主からセラーの一部を借りると聞いていました。
がニコラは、実際に作業をするにつれて不便を感じ、自分のセラーを持とうと思い立ち、つい最近インターネットで探し始めたところ、なんとアンボワーズの駅から10分ほどの川沿いにある、洞窟つきの廃業したネゴシアンの小さなカーヴが売りに出ていました。洞窟は一つ、奥行きは10mほどでしょうか。そうこうするうちに、隣人の洞窟も購入することになりましたが、何と奥行きは100mもあり、中で元の洞窟とつながっていました。「私も50歳、最後にいい仕事をしたいからね」とのこと。値段を聞いて高くないのに驚きましたが、幸運な物件に出会えてニコラはとても満足げ。これで長期エルヴァージュ計画も、準備は万端。
 昨年、一樽だけ造ったロワール・シェールのシュナン・ブランは、さらに一年間樽で熟成するという。「やっぱり、私のドライなシュナンの原点は、ニコラにあった!」と叫ばずにいられない、素晴らしいシュナン・ブランでした。八月は好天に恵まれ、このまま行けば、2014年は良いとしになりそうです。
2011年からニコラが3ヴィンテッジ造ったサン・ペルレは、2012年と13年はまだ樽に入っています。この春リリースされた2011年は、ビン詰めから一年間たって味わいが落ちつき、美しいまとまりが出てきていました。骨格・奥行きとも姿を現し、大変おいしくなっています。今後、サン・ペルレがどうなるかわかりませんが、ラシーヌとしてはロワールに専念してもらいたいと願っています。
 数年間過ごしたアルデッシュでのワイン作りも、ひとまず一段落。これからはアンボワーズの理想的な洞窟カーヴで、思い切り醸造できるようになったわけです。ニコラの前途明るい再出発を、心から喜んでおります。
 
ラシーヌ便り』no.122 《合田泰子のワイン便り》より、2015年12月寄稿
新年おめでとうございます。
新年を明るい話題で出発したいと思っていたところ、待望のワインの船積みが暮れぎりぎりに確定したという連絡が届きました。
 
一つは、我らがニコラ・ルナール。やっと。リリースです。
 ラシーヌ便り108号でお知らせしましたように、「ニコラ・ルナールの本気」が姿を現します。「ヤスコ、僕を覚えてますか? ワインを作ったので見に来てください」
と、携帯からショートメールが届いたのが、2014年1月。
早速アンボワーズを訪ねて、ー樽に満たないシュナン・ブラン2013年をテイスティングし、ニコラの復活を感激のうちに祝いました。当時われらのニコラはまだローヌに住んでいて、サン・ペルレの2011年、2012年と2013年が醸造中。と同時にニコラは、ロワールでのワイン作りに向けて準備を始めていました。
 ところが、2011年のサン・ペルレが無事届いた後、2012年と2013年産が予定の時期が来ても音沙汰がありません。連絡がプッツリと途切れたまま、梨のつぶてです。「また、どこかに消えちゃったのかしら?」と半ば諦めかけていました。
風来坊のニコラは、周辺の作り手とも交流がない様子。誰に聞いても、「最後に見かけたのは2003年頃のディーヴかな」という始末。フランスでも、いまや忘れられた存在も同然でした。1995年と1996年に、あのすさまじいジャニエールを作っていたことを知っている人も、もうほとんどいません。
2015年4月には、アンボワーズのセラーに様子を見にラシーヌのスタッフが行くという連絡を、期待せずに送りました。いざ訪問してみたら、ネット環境も整っていない作業場で、ニコラは寝泊まりしながらワインを作っていたのです。それで少し安心したのでしたが、2013年と2014年のシュナン・ブラン、ソーヴィニョン2014年がいつ出てくるか、待てど暮らせど連絡がありません。
 

 「私も50歳、最後にいい仕事をしたいからね」
というニコラの言葉に歓喜していたのに、まさかのぬか喜びだったのか、と歎きながら時間が過ぎて行きました。
ところが2015年も押し詰まった12月2日になって突然、「12月7日、集荷に来てください。ラベルと印刷代用のお金が足りない」と、いきなり入金催促メールです。
ニコラもワインも無事というわけで、一同、安堵の胸をなでおろしました。
  さて、2016年2月にはサン・ペルレ、シュナン・ブラン、ソーヴィニョン、が一挙に届きます。ニコラの復活を祝してロワール地方のお料理と、細身で繊細なシュナン・ブランを楽しむ会を開かなくては、と大きく期待がふくらみます。
   合田泰子
 
合田 玲英のフィールド・ノートより、2016年3月寄稿
 ラシーヌの研修員の方とともに、重要生産者を訪問した。なかでもニコラ・ルナールは異彩を放っていた。長いあいだ話に聞くだけだったけれど、初めて飲み味わった彼のワインはとても綺麗なつくりで、なんとなくイメージしていたワインと違っていた。感覚とセンスで造り上げる人かと思っていたら、話を聞くにつけ、とても論理的で細かいところまで考え抜いている。多くの生産者と話し、彼らのワインを飲みながら、独学でワイン造りを学んできたそうだ。ニコラはあまり他のワインを褒めることはないけれど、話しているとひたすらワイン造りが好きなことが伝わって来る。趣味は家具造りだそうで、ものを造ること自体が好きなのだ。
 
冬の剪定も春先の芽かきも3haの畑を全て独りで行っていて、多くの時間を畑の中で費やしている。セラーの中の仕事は洗うくらいしかないと言い、セラーでの作業が多いのはブドウが悪いからだ、とまで言ってのけた。ワイン用ピペットも試飲中に何度も取り替えたり、洗ったりしていた。現在醸造しているところは不動産サイトで見つけたそうで、ロワール河沿いには写真のようなセラーが簡単に見つかるそうだ。40年前までネゴシアンのセラーとして使われていただけあって、醸造環境としては理想的に思える。
 
   畑でのボルドー液使用は、ビオの栽培でも認められている。けれどもニコラは、土壌の汚染を避けるために量を控え、極力草花の煎じ薬や春先にハーブの種をまくことで対応している。畑は2012年から借りているもので、ニコラが借りるまでに決して良い手入れをされてきた訳ではないから剪定の仕直しや環境を整えるにはかなり時間がかかる。しかし一度剪定を綺麗にし樹液の流れを正し、果樹を植えるなどして畑の周りの環境を整えればそれだけ手間をかけずに健全なブドウを手に入れられることにもつながる。写真の畑はまだまだ良い状態とは言えず、たくさんの改良の余地がある。
 
しかし、借りているこの畑のオーナーは、パリサージュを外すというニコラの新しい畑の仕立て方には、異論があるとか。すでにこの畑には3年も時間をかけてきているだけに、困ったことである。
パリサージュを外すことは、電磁波の影響を防ぐためであり、電磁波の強く発生する環境では病気やカビが蔓延しやすいとのこと。ニコラは畑のなかでも、その重要性について、力を入れて話してくれた。いずれにしても、自社畑は自力でまかなえる現在の3ha以上持つつもりはないよし。畑の問題は、だれにでも、いつもつきまとう問題なのだ。それにしても、完全に自分が思い通りに栽培できることが、とりわけニコラには必要なのだ。
 
 セラー内でニコラは、金属製品を排除している。セラー内の電灯には、電圧の低いものを使う。ワインの移動には絶対に電動ポンプの動力をもちいず、手動のポンプによるか、または樽自体をフォークリフトで持ち上げて生じる位置のエネルギー(重力)を使って、スティラージュなどの作業を行う。バリックの他にワイン用のタンクとしては、グラスファイバーのものがあるだけだ。
 
 ニコラにとっては、ワイン造りの過程において亜硫酸添加はありえない。だけれど、それを実行することは簡単なことではない、とつくづく思う。上記のことに加え、一番気を使うのは、外部の人を雇わなくてはいけない収穫の時。収穫人に求められるのは、健全なブドウを迅速に収穫すること。だけれど、選別基準を醸造家本人とどれだけ近づけられるかが問題だ。そこでニコラは収穫を始める前に、明らかに状態の悪いブドウと良いブドウを摘んできて味見させ、さらに果汁を絞って味見してもらうことから始める。品質の違いを体で感じてもらうことで、選別の精度を上げるためだ。さらに収穫は最大でも5人で行い、小さな収穫箱は使わない。小さな収穫箱は熟練の収穫人が作業するには良い。が、そうでない場合は、摘んだそばからトラクターに積まれてしまい、ブドウの品質確認ができない。だからニコラは、少し大きな収穫箱を用意する。収穫人は小さなバケツをそれぞれ持ち、バケツがいっぱいになったらそれをニコラに渡して、ニコラ自身がブドウの最終確認をしてから収穫箱に入れる。こういう手法を取っているため、ニコラ以外の収穫人は多くても4人が限界なのだ。ブルゴーニュように経験を積んだ収穫人が来てくれるような場所ならば、小さな収穫箱でも問題ないが、場所と状況が違うので、考えて対応しなくてはいけない。
 
 聞けば聞くほど、ニコラにはワイン造りのどの工程においても独自の考えと方法がある。たくさん仕事があって大変だよとこぼすので、どうしてそこまでと聞くけば、「ワイン造りが好きだからなあ」とニカッと笑う表情が素敵だ。

◆シャトー・ド・ゴールでのワイン造りについて
ニコラ・ルナールから「リムーで僕がコンサルタントをするワインがあるのだけれど、興味ある?」と、またしても突然話が降ってきたのが2021年の夏。シャトー・ド・ゴールという生産者のコンサルタントをすることになり、2021年VTの醸造からリムーでのワイン造りを手伝うことになったという。シャトー・ド・ゴールは50ha以上の畑をワイナリーなので、オーナーのピエール・ファーブルと話し合いながら、少量ずつニコラの考えるワイン造りをしていくことになるだろう、という話だった。
大きく不安に思いながらも、ニコラの手掛けるグルナッシュ、シラー、シュナン、シャルドネ、ペット・ナットなどなど、期待せずにはいられないフレコミで、ラシーヌからNOという返事をすることはありえなかった。ピエールもラシーヌにニコラの関わったワインの紹介については積極的で、まだ出来上がっていないワインの購入が決まった。
 2022年春に試飲した、熟成中のワインは、生産地が違ったとしても、ニコラ作のワインだと納得のいくものだった。しかしその頃からお互いに意思疎通が難しくなってきている、とニコラとピエールのやり取りをラシーヌが介することが多くなった。片や50haの畑を所有するワイナリーのオーナーと、片や年産10000本に満たないワインを洞窟で生産する風来坊。わかり切っていたことなのかもしれないが、2022年の夏に二人の共同プロジェクトは解消してしまう。
 
「ワインにおいてブドウ栽培が何よりも大事で、醸造で出来ることは何もない」とワインの造り手はしばしば口にする。とはいえ誰がどのように、どこまでワイン醸造に関わってきたかも同様に重要な要素であることには疑いが無い。
共同プロジェクト解消の2022年夏時点で、ラシーヌが購入を約束していたワインは全てシャトー・ド・ゴールにて熟成中で、それらのワインの原料となるブドウの栽培にニコラは関わっていない。ラシーヌとしてはワインの醸造から瓶詰までだけでも、ニコラに完結してもらわなければならない。ピエールとニコラを根気よく説得し、2022年11月にニコラの監督の元、赤ワイン(グルナッシュ1種とシラー2種)の瓶詰めをしてもらうことが出来た。白ワインとペット・ナットについては、ニコラの手による瓶詰をすることが不可能だったため、購入を断念。

プロジェクトの立ち消えは残念でならないが、もしまた同じような話があったら何度でも乗ってしまいたくなるような夢のあるプロジェクトだった。赤ワインすら到着しなかったらと思うと気が気でなかったが、ワインは無事入港し日本市場に紹介できる運びとなった。
 
上記のような理由から100%ニコラのワインとは言えないかもしれないが、収穫から瓶詰までニコラの監督の元で行われた。「収穫のタイミングは出来上がるワインの方向性を決定づける重要な事項だ。ロワールと醸造所のあるリムーを行き来するのは大変だったけれど、瓶詰まで責任をもって行うことが出来たし、素敵な人たちに出会うことが出来た。最終的にはド・ゴール側とのやり取りが難しくなってしまったが、最後まで僕を信じて指示通りにワインの管理を行ってくれたマチューと、ド・ゴール敷地内で民宿を営むブノワとテレーズには感謝してもしきれない。」とニコラ。
 
※キュヴェ名はどれもアルデリカ(シャトー・ド・ゴールの地域に伝わる伝説に登場する王女の名に由来)で、それぞれ品種名が記載されている。シラーの2種の畑名は裏ラベルに記載。


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