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2020年がファースト・ヴィンテッジ。ブルゴーニュ出身の母とアルザス出身の父との間に生まれ、ふたつの地域で育った。ボーヌとモンペリエでブドウ栽培と醸造を学んだ後、一旦は両親の経営する小さなドメーヌでワイン造りを志すが、除草剤などの使用は自分には無理だと悟り、バックパック1つ背負って世界中のワイン産地を巡り、彼が “師匠” と仰ぐ、生産者の下で自身のワイン造りの基礎を築く。同時にソムリエとしての経験も積む。多くのナチュラルワインの造り手と出逢い、生まれ育った村での保守的なワイン造りとは違う「人と違うワイン造り」を目指す勇気を得たヤニックは、故郷のアルザスに戻り、ロスハイムで自身のワイン造りに着手した。認証はえていないものの、ビオロジック農法を実践し、瓶詰は亜硫酸無添加で行う。
先入観を持たずにワインを飲んでもらいたいという想いから、エチケットに産地は書かず、ブルゴーニュボトルにワインを詰めることにした。アルザスに約2haの畑を購入し。ビオロジック栽培を実践。また、経済面を補強するために、友人のジャンヌがビオディナミで世話をする畑のブドウでネゴシアンとしてのワイン造りも行っている。醸造面では全房での発酵と抽出期間を長めにとることを心がけている。
地域:Alsace アルザス
地区、村:Rosheim ロスハイム村
醸造·栽培責任者:Yannick Meckert ヤニック·メッカ―ト
HP: https://www.instagram.com/yannick.meckert/
【ワイナリーと造り手について】
ヤニックとは、彼の日本での滞在中に出会った方も多いかもしれません。ヤニックはバックパッカーとして旅を始め、各国のものづくりと食に見せられ、世界中で時にはソムリエとして、時にはワインメーカーの元で研修をしていました。日本での滞在時も酒蔵で研修をしたり、日本各地のワインバーなどで働いたりしました。
ブルゴーニュ出身の母とアルザス出身の父の間に生まれ、両親はアルザスでワイナリーを経営していたため、ワイン造りはヤニックにとってはとても身近なものでした。ヤニックはボーヌとモンペリエでブドウ栽培と醸造を学んだ後、両親のワイナリーでのワイン造りに取り組もうと思ったようですが、除草剤の散布やワインに添加物についての両親との考え方の違いから、両親と一緒のワイン造りをすることは選びませんでした。その代わりバックパッカーとして数年間、世界中を旅することにしました。旅先で多くの“メンター”(「賢明で信頼のおける助言者」たちのことを、ヤニックは好んでこの呼び方で呼びます)に出逢い、またソムリエとしても知見を深めたヤニックは、2019年に故郷のアルザスに戻り、自らのワイン造りをスタートしました。
フィリップ·パカレやパトリック·メイエ(ドメーヌ·ジュリアン·メイエ)、オステルタグ(アルザス)、クラウス·プライジンガー(オーストリア)、寺田本家(日本)、シャルル·デュフール(シャンパーニュ)、ヤウマ(ジェームス·アースキン、オーストラリア)、レコステ、クリスチャン·ビネール、パックス·マーレ(カリフォルニア)といった世界中のナチュラルワインの生産者との出会いは、保守的で小さな村で育った彼にとって、「人と違ってもいい。そうすることで造り手の個性を伴った記名入りのワインを造ることが出来る」と教えてくれたといいます。
世界各地でのワイン造りを学んだヤニックですが、飲み手に「先入観なく自身のワインを飲んで欲しい」という想いから、エチケットには産地を記さず、敢えてブルゴーニュボトルを中心にワインを詰めています。
【畑と栽培について】
栽培はビオロジック(認証は得ていない)。畝には様々な植物の種を播き下草で覆うことで、窒素などの栄養素を土壌に回復させるようにしています。選定はグイヨー·プーサール、可能な限りロニャージュ(樹勢管理のための初夏に行う剪定)は行いません。
畑には、銅、硫黄、乳酸菌などのバクテリア、粘土、エッセンシャルオイルで自作した肥料を施します。
収穫は区画ごとに、頻繁に味をみて、果実を口に含んだ瞬間にあらゆる香りが立ち上がる瞬間を待ちます。収穫にあたり最も調和のとれた瞬間、つまり酸と果実味のバランスが最適と私が感じる瞬間を待つのです。このフェノール類の完熟を待つことで、酸よりは塩味を伴った印象を得ます。しかし、少しでも行きすぎてしまうと、出来上がるワインは重い印象を与えてしまいます。それは気候変動の結果です。
畑の概要
アルザスとブルゴーニュに合わせて約2ヘクタール畑を所有
◆アルザスの所有畑について
·オーセロワ:30アール
粘土質土壌の畑。樹齢50年のV.V.で収量ごくわずか。所在地はオベルネ(コミューン名)。
·ピノ·ノワール:30アール
粘土質土壌の畑。樹齢50年のV.V.で収量ごくわずか。所在地はオベルネ。
·ピノ·グリ:30アール
粘土質土壌の畑。樹齢50年のV.V.で収量ごくわずか。所在地はオベルネ。
·シルヴァネール:25アール
丘陵の下部の体積土壌の畑。樹齢50のV.V.。所在地はハイリゲンシュタイン(コミューン名)。
·リースリング:25アール
粘土石灰質土壌の畑。若い樹。所在地はオベルネ。
·ゲヴュルツトラミネール:70アール
粘土石灰岩質土壌の畑。樹齢35-50年。所在地はオベルネ。
◆ブルゴーニュの所有地について
バスチャン·ウォルベール(ブルゴーニュの生産者)と共に、オート·コートに12アールの小さな畑を購入。
◆ネゴシアン
買いブドウは友人のジャンヌから、ブドウを購入しています。彼女はシスト土壌と火山性土壌からなる斜面の畑を8ヘクタールの畑を所有しており、ビオディナミ農法を実践し、耕作や除草にトラクターを使用せず、多くの作業を手作業で行っています。ジャンヌ自身もいつかワイン造りを、と考えているようですが、2022年現在は仲の良い醸造家にブドウを販売することで満足だそうです。ヤニックは定期的に彼女に会いに行き、栽培についての意見交換をしているようです。
◆ブドウ品種ごとの栽培面積と土壌など(ジャンヌの畑)
·ピノ·ノワール:ソレンバーグ(区画名)(40アール)
砂岩·火山性土壌―ペルム紀に形成された砂岩土壌と度重なる火山の噴火によって形成された粘板岩(スレート)を含むヴォ―ジュ山塊の砂岩土壌。所在地はレイシュフィールド(コミューン名)。区画名はソレンバーグ。
·リースリング シーフェルベルグ(区画名)(15アール)
スレート状の青い結晶片岩土壌。樹齢30年のブドウ。
·10アールのリースリング ソレンバーグ(区画名)
ペルム紀の堆積砂岩·火山性土壌。
【セラーと醸造について】
ジュール·ショヴェ(の本)の影響を強く受けているとヤニックは話します。全房で発酵し、しっかりと抽出を行う醸造方法を通じて、アルザスの品種を再評価できると考えています。醸造はピノ·ノワールもゲヴェルツもピノ·グリも同様に、全房でのブルゴーニュ式の発酵を大体一週間行い、年によっては一日に二回発酵槽に入ってピジャージュを行います。糖分が完全になくなって、足が発酵槽の底につくようになったら(発酵が完全に終わりマストが柔らかくなったら)デキュヴァージュを行います。
白ワインについては、多くの場合マセレーションは行わないとヤニックは話しますが、熟成期間は1~2年です。
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