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Domaine Economou ドメーヌ・エコノム
地域:Crète クレタ島
地区、村:Ziros(ズィロス)村
造り手:Gianni&Natassa Economou ジアンニ&ナタッサ・エコノム
ドメーヌはクレタ島の東端に位置します。ジアンニ(ギリシャ名:ヤニス)はエノロジストであり、ドメーヌの魂でもあります。彼は豊富なワイン造りの経験があります。例えばアルバではエノロジストの称号を手に、ピエモンテではCeretto(チェレット)とScavino(スカヴィーノ)のようなマエストロの指導下で働き、ドイツとボルドー(1993年という難しい年のシャトー・マルゴー)でも仕事をしました。
1994年にクレタ島へ帰郷し、家族農園を復活させました。
16ha※の畑はZiros(ズィロス)、Katsidoni(カツィドニ)、
Etia(エティア)村に位置し、標高は600~650メートルにも及びます。
主に自分たちで耕作し、平均樹齢は35年です。
絶対的に環境に敬意を払い、栽培はビオロジックです。
シチアのVQPRD、VLQPRD赤白ワイン用品種としては、リアティコ、マンディラリア、ヴィラナ、
スラプサシリのような土着品種も元来栽培しています。また、様々な国際品種も栽培しています。
平均年産量: 25,000本(2014年ヒアリング)
※16ha所有しているが、実際ワインを造っているのは9haのみとなります。
土壌(赤ワイン):シスト、石灰石の沖積土、フリッシュ(砂岩と泥岩の互層) ※phは酸性
品種:
赤ワイン用:リアティコ、マンディラリア、コツィファリ、クシノマヴロ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、ピノ・ノワール、シラー、グルナッシュ、カリニャン
白ワイン用:ヴィラナ、スラプサシリ、シャルドネ、ヴィオニエ、ユニ・ブラン
醸造法:
赤ワイン:ステンレスタンクでアルコール発酵。オーク樽で20~24ヶ月熟成後、少なくとも6ヶ月間ビン内熟成。
白ワイン:ステンレスタンクでアルコール発酵。オーク樽かステンレスタンク、若しくは両方で6~12ヶ月間の熟成。
東西に250km南北に50km程の大きな島で、山がちで岩肌の目立つ土地には、沢山のオリーブの木が植わっていました。気候は一年中大きな温度変化は無く、気温も暖かく、1月にもかかわらず、日中は半袖で過ごせました。また、夏もそこまでの気温上昇は無く、30度後半になることは、稀だそうです。海岸沿いにある街から少し離れると、10kmもしないうちに山地に入り、ぐっと気温は下がります。山地は東西に伸びていて、東部、中部、西部、それぞれの最高峰は2300m前後。意外にも沢山の雪が積もっていて、スキー場もありました。
街の外から山の中部にかけての道路沿いでは、見えるところはほとんどオリーブの木が植えられていて、どこにいっても労働者たちがオリーブ狩りをしていました。他の地域ではたいてい12月頃までには、オリーブ狩りは終わらせるそうですが、気温があまり高くならないことから、オリーブの実の熟すのが他の地域よりも遅いそうです。そのため、実が樹上により長い間あり、風雨にさらされ、悪い実はふるいにかけられるので、クレタのオリーブオイルは上質なのだとか。
また山の上のほうにいくと、野生のハーブの香りがとても強く香ってきます。現地の人によると、春から夏は、 香りで眩暈がするくらいだそうです。タイムもオレガノもローズマリーも、それからクレタ島でよく飲まれるらしいハーブティー用のハーブも、手にとって擦ってみると、とても鮮烈な香りがしました。また車で山を登ると、道路を作るために削られた斜面の色が、100mおきに変わっていき、地層のうねっている様子がよく分かりました。大昔に海の底に沈んでいたらしく、貝などの化石も簡単に見つかり、土地の多様性が感じられます。
クレタ島の東部、シティアに住む当主のヤニス・エコノムーは、フランス/イタリア/ドイツでワイン醸造を学び、家族ゆかりの地であるシティアでワイン醸造を始めました。彼によると、クレタ島では昔からほぼ全ての家庭が、ブドウ畑やオリーブ園、その他農作物の畑を持っていて、彼の家庭でもブドウ畑を昔から持っていたそうです。
ヤニスは醸造家であるとともに、優秀な経営者であり、ワイナリーの経営だけでなく、オリーブオイルの圧搾場、その後の処理施設などの、地域の主要な農産業に関わる施設も経営しています。使われなくなった、農機具や醸造機械を引き取り、手入れをし、販売したり時にはただであげてしまったり。地元の人との取引は、ほぼ物々交換(ワインやオリーブオイルを含む)や、労働力の交換でやり取りをしていて、どこに行っても、ヤニスヤニスと声をかけられ、地元の名士という感じでした。会話も大好きで、彼の経営観、クレタ島の素晴らしさを語りだすと止まりません。一流のワイナリーで修行をし、一流の理解力あふれる顧客のみと取引をし、価格交渉には応じない。それもこれも、全てクレタの恩恵あってこそ、そしてそれに絶対の自信があってこそ、なのです。
ワイナリーと畑はシティアの街から、南に20kmほど山に入ったところにあり、標高は600m。山の上の開けた台地にあり、風が強く吹いていました。フィロキセラの被害の無い土地で自根ブドウを栽培し、強く吹く風、夏にも暑くなりすぎない気温のおかげで、ほとんど手間のかからない栽培環境が整っている、と胸を張っていました。ワイナリーでの作業もとてもシンプルで、醸造からビン詰めまで亜硫酸の添加はゼロです。ワイナリーの中は夏でも十分に涼しいほどで、醸造用のタンクも冷却装置の無いシンプルなものでした。またビン詰めの前のアッサンブラージュを見せてくれたのですが、5%にも満たない量の少し性格の違うワインを混ぜるだけで、元のワインの性格がガラッと変わり、複雑さが増すのには驚きました。タンクや樽を外に置き、変化の大きな環境にさらしたワイン、 同じワインの樽違いなどのアッサンブラージュを試させてくれたので、とても勉強になりました。そして説明をしてくれた後では、こんなことが可能なのはクレタの特異な環境あってこそだ、と毎回締められるのでした。
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