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オーナー: Alessandro Mori アレッサンドロ・モーリ
地域:Toscana
地区、村:Montalcino モンタルチーノ
醸造責任者 : Alessandro Mori アレッサンドロ・モーリ
コンサルタント:Paolo Vagaggini パオロ・ヴァガッジーニ
ホームページ:http://www.ilmarroneto.com/it/
ドメーヌ創業年:1974年
ドメーヌ解説
歴史: “イル・マッロネートは、モンタルチーノでも最も歴史あるワイン生産者10社の一つとされている。”
イル・マッロネートは、1974年に、現所有者アレッサンドロ・モーリの父、ジュゼッペ・モーリによって購入されました。弁護士だった彼がそのブドウ畑の一角に初めて苗木を植えたときから、彼の二人の息子アンドレアとアレッサンドロの兄弟は、すぐに大きな興味を示しました。モーリ一家はこうして当時使用することのできたイル・マッロネートの小さな二部屋だけでワイン造りを始め、ワイン造りに必要な原料と、それに関わる大切な作業にたいして、日に日に情熱を傾けるようになっていったのです。
イル・マッロネートは、この小さなステップを踏んだ後、進化を始めます。ワイナリーは大きくなり、父親とアンドレアは弁護士としてのキャリアの道を歩み続ける選択をしますが、アレッサンドロは、彼自身も同じ法律家の道を歩むものの、既に自分の全人生を映しださせていたワインの世界をどうしても投げ出すことができず、彼の大きなパッションを人生哲学にまで高めようと、イル・マッロネートとそのブルネッロの命の火を灯し続けていく決心をします。
今日では、彼は大きな愛情、注意、情熱を傾けて、自らワイン造りを行っています。アレッサンドロが収穫からボトリングまで、まるで自分の創造物であるかのように、一日一日気を抜かずにワイン造りを行っていることは、彼のブルネッロを観察しながらゆっくりと味わい、あるいは彼のワインの語るのに耳を傾ければ、瞬時に理解できるはずです。彼のワインがもたらす情熱と歓喜には、並外れたものがあります。サンジョヴェーゼのみを栽培し、サンジョヴェーゼ100%で造り上げ、畑にはほとんど手をつけず、除草剤やその他の特殊な保護剤は一切使用しない。もととなる果実とその香りを引き出し、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産規則に課せられた4年間の木樽熟成においてその価値を失わず、その先もありのままの繊細でいて優雅な姿を保ち続ける力を持つワインがすきなのです。
創設から30年以上を経た今日、イル・マッロネートは、モンタルチーノ(シエナ)で最も著名かつ重要で、地域内外でも良く知られたワイナリーの中でも、最も歴史のあるワイナリー10社の一つとされています。これはすべてアレッサンドロ・モーリが、自分の仕事に注いできた大きな情熱の成果といえるでしょう。イル・マッロネートのブルネッロは、伝統的なワインで、アリエやスラヴォニア産のオーク大樽で熟成され、モンタルチーノの伝統製法によって醸造されており、とてもエレガントで香りが豊かにしてクラシックであり、メディテーション(思索を凝らすこと)に適したワインとなっています。偉大なワインが掻き立てる大きな感動は、このワインが造られたときに与えられた愛情と手間暇によるものす。
AlessandroMoriアレッサンドロ・モーリ
アレッサンドロと彼のブルネッロとの間柄は、人とその人が造るワインの間に明確な線引きが出来ず、溶け合ったものになっています。おそらく彼らの場合、それは感情の共有、つまり人生の瞬間を共に生き、共有する方法でもって、互いの存在なしには生きていけないくらいまで相手の愛情を感じながら、対峙し、あるいは励まし合いながら、近づいて行ったのでしょう!
アレッサンドロと彼のブルネッロが互いに有する情熱的な性格は、シンプルさの追求し続けながらも逆に複雑になり、心を開く時は握手を交わす時のようにフランクになり、グラスの中でゆっくり個性を広げるときは寛大にむかい、彼らの歴史と伝統の保護することには敏感かつ厳格になります。
アレッサンドロは、畑からボトリングまで、彼のワインを生むための工程のいずれにおいても、愛情と注意を傾けるを怠りません。そして誰かが、彼のワインの飲み頃はいつかと聞くことがあったら、彼はこう答えるはずです。『いつ飲むかが問題なのではなく、大切に扱って飲むことが大切なのです。このワインは、貴方に飲んでもらおうと、我慢強く何年も辛抱してきたのですから。』 彼が間違っているなどと、どうして言えるでしょうか?
Lucia ルチア
企業経営の要としてルチアがいなかったら、アレッサンドロのクリエイティブな心は空を舞い現実世界に留まっていなかったことでしょう。なくてはならない協力者として、イル・マッロネートの運営を担当し、イタリア国内での営業担当としてもアレッサンドロの脇をしっかりと支えています。
彼女のイル・マッロネートのワインに対する執着は、往々にして純粋な仕事としての領域を超えていることに表れているとおり、ワイナリーの仕事を旺盛かつ注意をもって取り組んでいます。
Maurizio マウリツィオ
黒のサングラスにヘッドフォンをつけたマウリツィオは、表舞台に出ることはあまりありませんが、ワインの『構築』を見守り、日々オーガナイズしています。ワイナリーでその能力と経験を発揮し、黙々と立ち働く人。それがマウリツィオという人物であり、イル・マッロネートの各部屋とブルネッロの番人なのです。さて、一体彼の作業中のバックグラウンドミュージックは?
イル・マッロネートのブドウ畑は、モンタルチーノの城壁からほど近い丘の北側斜面、標高約350ⅿに広がっています。1975年に最初の3000メートル分の条列に苗木を植え、1979年にさらに同程度、そして1984年に最後の9000m分の条列に苗木を植えました。
全作業がブドウの最高のクオリティに繋がるよう、植える苗木の間隔に大きな注意が払われました。ですからイル・マッロネートの畑では、サンジョヴェーゼの樹が大地にしっかりと根を広げるのに十分な広さが得られるよう、3.6㎡に一本の割合でブドウの木が植えられています。
さらに畑の管理方法は、ブドウの木を尊重した作業とシステムを取り入れる、伝統的かつミニマリストな哲学を基本にしており、手を加えるのも必要最小限にとどまり、集約的な生産を避けたものとなっています。この考え方による自然な草生栽培の実施は、より長い時間をかけた受粉によってブドウの木の活力を調整し、3月に剪定作業を行いブドウの木に十分に休養を取らせることを、可能にしています。
大切なのは収穫期ですが、ブドウの果枝が焼け色に変わりだす時、つまりブドウの種子が適度に熟したことを示す頃、やっとブドウは摘み取られます。これは成熟期に達したブドウの種子は、ワインにした時に若々しく、輝きを持ち、長期熟成に適する長い命を宿すのに欠かせない植物性タンニンを作るからです。
1246年に立てられた古い建造物にある二つの小部屋の中で1974年、イル・モッロネートの歴史が始まりました。モーリ一家はちょっとした遊び心とパッションから、古いマロン(栗)の乾燥室で自分たちのブルネッロを生産しようと考えたのです。生産本数はわずかでしたが、狙いは『ワイン造り』という文化の香りと味わいとを伝えることで、未だビジネスの領域には至っておらず、単に土地と伝統そして自然を見事な豊かさを表現することにありました。
ところがこの『ワインと遊ぶこと』がその域を超えてしまいます。ワインへの深き情熱、これがアレッサンドロの選んだ道の標となったのです。彼は90年代、上辺だけで型どおりのロジックから抜け出し、論理的な原則に根ざした彼の理想を実現させようと、イル・マッロネートの醸造所を拡大する決心をします。が、実際にはその理想とは、かなりシンプル且つ直接的なもので、ワイン造りに必要な『良い実践方法』だったのです。
広くそしてより厳密な用途を与えられた環境となった醸造所は、石の多い斜面にはめ込まれたように存在し、その内部にイル・マッロネートのブルネッロを辛抱強く熟成させているアリエ産やスラヴォニア産のオークの大樽、さらには奥に隠し持つ小さな心臓のように年代を経たボトルたちが、じっくりと時が過ぎていくのを待ちながら見守っています、辛抱強く。
ラシーヌは設立以来、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリアとピエモンテ地方のワイン開発に力を注いできましたが、同時にトスカーナの充実を心掛けてきました。トスカーナと言えば、まずジャンフランコ・ソルデラ氏=《カーゼ・バッセ》と仕事できる名誉にくらべられるものはありません。が、若き天才ジャコモ・マストレッタ氏=《ラ・ポルタ・ディ・ヴェルティーネ》に出会えたことは、これまた大きな喜びです。最晩年のジューリオ・ガンベッリの薫陶を受けたジャコモのワインは、すでにトスカーナの「新たな古典」であるといっても過言ではありません。
加えて、2015年春のヴィニタリーでは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのテイスティングに注力した結果、《イル・マッロネート》と《ライエッタ》があらたに陣容に加わりました。わけても1246年に建てられた荘重な建物のなかで造られるイル・マッロネートは、精妙な複雑さと重厚さを備えた、優雅なブルネッロです。
【追記】 ヴィニタリーで初めてテイスティングした時には知らなかったのですが、イル・マッロネートはマドンナ・デッレ・グラツィエ2010がパーカー・ポイントで100点満点を取ったよしです。ワインの実力がありのままに評価されること自体は結構なことですが、世界中の人気が急上昇したため、アレッサンドロは各国のインポーターたちから毎日届くメイルの処理に追われているそうです。わたしたちは、そのような表面的な現象に惑わされることなく、妥協せずに我が道をゆくアレッサンドロとともに、堅実に歩みを続けたいと思っています。(2015.09.03)
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